私の好きな漫画家の一人に、一条ゆかりさんが居ます。
子供の頃は彼女の絵がどちらかというと苦手だったのに、一度読んだら一条さん漫画の魅力に憑りつかれてしまいました。
それからは、一条さん作品の古いものから新しいものまで読みまくり、そして一番ハマってしまったのが、かなり前の作品ですが「砂の城」です。
幼馴染2人の悲しいラブストーリーから始まるのですが、お互いを思う気持ちが本当に深くて感動するのです。
その家のお嬢様のナタリーと捨て子でその家に引き取られたフランシス、2人は物心ついた時からお互いの事が大好きで、その気持ちは大きくなっても変わりませんでした。ナタリーの両親はついに2人を許すのですが、その直後から、ナタリーに不幸が降りかかるのです。
それからのナタリーの悲劇と言える人生が本当に可哀想で、何度読んでも「なぜナタリーがこんな目にあわなきゃならないの?」と涙してしまいます。
大金持ちのお嬢様で、子供の時から凄く可愛くて、頭も性格も良く、全てを持っていた人なのに、大好きだった両親と最愛のフランシスまで失くしてしまうのです。
何不自由なく育ったお嬢様をここまで陥れなくても、と本当にナタリーが気の毒でした。
その後、フランシスの子供と出会うのですが、それが彼女を幸せにする事にもなり、苦しめる事にもなり、最後にやっと幸せになれたと思ったのですが…。
何がそんなにこの物語に引き込まれるかというと、2人の思いの深さです。
ナタリーもフランシスもお互いしか見ていない、お互いしか見られない、お互いしか愛せない、こんなに好きな人が出来るのは、時には苦しいと思いますが、すごく幸せな事だと思いました。
そして、こんなに好きな人が自分にも見つかったら良いな、と読者は皆憧れたと思います。
いつまでも恋しい人を追い続ける姿はとても切ないのですが、そこまで好きになれる事がとても素敵なのです。
かなり重く辛いラブストーリーですが、何度読んでも飽きずに、毎回その世界に引き込まれます。
そして読む度に、ナタリーの両親が生きていたら、ナタリーはどこの誰よりも幸せになっていたのにどうして?と思います。
そうなったら普通過ぎて物語にはなりませんが、一条先生、ナタリーが幸せな家庭を築いて、おばあちゃんまで生きるパターンの漫画も描いてください。
よろしくお願いします。